護樹騎士団物語 螺旋の騎士よ起て!

朝の市場の露天商から偶然手に入れた廃絶されたメイル家の紋章が押されているずしりと重いノート。その古いノートは、カーン中央大学の自由着想ノートというものだった。そして後半のページに記されていたのは、このノートを盗んだものが記述したという独白―それは事実とも物語ともつかぬ、ある少年の話だった。貧しい巡礼の子供として生まれたリジュー・グレネル・ラファル。ミルソーティア暦40176年、冬の底冷えのなか、父親と一緒に北西部アーマンディー・サッシェ地方を旅し続けていた。ある晩、父が姿を消すことから物語は始まるのだった…。


巡礼の息子の貧しい少年がひょんな事から、貴族の息子に擬せられて、皆を守るために戦うというお話。
舞台はヨーロッパの中世的世界観の中に、現代や近未来の技術がロストテクノロジー的に入り交じっているという何とも不思議な世界。文明レベルはどうなっているんでしょうか。電気はあるんだけど、干し肉か。そのあたりに言及がされていないんで、想像しながら読んでいかなければならないのがめんどくさい。むーん。
貴族にしか操れないロボットも登場するんですが、どうも操作シーンが分かりにくいです。まあ文句はこのあたりで。
結構主人公に都合良く進む部分はあるけれども、いなくなった父親の後を追って貴族の城に潜り込んでからの、命を賭けた冒険の展開は手に汗握って一気に読みました。テンポよく進むお話は飽きさせなかったし、後半の人々を守るために戦う展開は良かったです。
謎も多いし、物語的には序章ですが、これから彼はどうなっていくんでしょうか。