レジンキャストミルク4

二年前。それは舞鶴蜜がまだ、速見蜜という名前だった頃。ひとりぼっちだった彼女は、直川君子と出会った。無邪気で朗らかな君子は、空っぽだった蜜の心をあっという間に埋めていく。生まれて初めての友達。ずっとこの娘と一緒にいたいと、蜜は強く願っていた。―虚軸“壊れた万華鏡”が、自らの裡に取り憑くまでは。そして、二年後。現在。かつての親友を“無限回廊”に連れ去られた蜜は、硝子を奪われた城島晶と共に、反撃のため立ち上がる。ふたりは果たして、それぞれの大事なものを取り戻すことができるのか。


連続刊行となる下巻。
プロローグの部分から始まって、丸々一冊舞鶴のための作品といった印象でした。3巻で暗に示していた、彼女の虚軸になる前の過去が多く描かれていたために、キャラとしての立ち方もばっちり。相手を大切に思う理由が書かれているとグンと戦うときの説得力がまします。もう一つのテーマである主人公と硝子の和解の部分がそれに比べるとあっさりとしていて添え物みたいな感じになってしまうぐらい。
血だまりの中で横たわっている261頁の挿絵が舞鶴と直川二人の、幸せな過去と、断絶してしまってもう戻ることが出来ない現在を思わせて何とも切ないものでした。直川と出会う前の舞鶴を人形みたいなものと見立てて、人形を求める敵と、自分の意志を持たず規範通りに行動する敵の話に絡めたのも見事。無限回廊と晶との戦いはこれまた添え物みたい、といったら駄目か(笑)
しかし、ここまで喪った物はあれど、ラストの部分をあんな幸せな締め方をするとは。とても暖かいんだけど、敵の意図が見えないのが嫌です。素性は晶に近いものみたいですが。
また、時折挟まっているコメディパートの佐伯ネアはいいキャラでした。暴走運転するのはなんか予想出来たんですが…予想の斜め上をいかれた。