土くれのティターニア
- 作者: 増子二郎,溝口ケージ
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2006/07
- メディア: 文庫
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主人公達とそれを取り巻く、見えないイキモノにまつわる短編集。
人に言えない秘密を抱えたヒロインと、一人だけそれに関わることを許された、主人公を阻むモノを退治する精霊が憑いているものの、自身は平凡な主人公。二人の関係性は結構見るものですが、この作者にかかるとそんな感じに見えないのが不思議。
美人だけれども、男勝りでどこか抜けているヒロイン、そして物事にあまり動じない主人公が作り出す作品の雰囲気は、何ともほのぼのとしたものでした。ヒロインは重いモノを背景に背負っているはずなのに、それを時折にしかみせないのもそれに一役買っていると思います。全然ヒロインと主人公の関係が変わらず、後ろに憑いている精霊さんばかり当てにされてる主人公は可哀想ですけど。4話で少しだけ態度が変わっていますが、ヒロインが主人公自身の大切さに気づくときはくるのでしょうか。
その中で、山のモノたちと織りなすストーリーは戦闘もあるのに、あまり緊迫感がなく時に切ないものでした。人に捨てられたつくもがみの話を描いた「声は響いて」が好きです。
ただ、連作短編とはいえ文庫が初出なので、キャラ紹介をいちいちする必要なかったのではないかと思います。二人の出会いの部分など冒頭の第一話の部分があまりに描写もなく、すっ飛んでいるなど、きちんと描写がしてあればもっといい作品になったのではないでしょうか。背景があまりないイラストは微妙。