座敷童にできるコト (6)

座敷童にできるコト (6) (電撃文庫 (1292))

座敷童にできるコト (6) (電撃文庫 (1292))

人類を護っていた座敷童たちの長であり、“時を超越せし者(エターナル・ワンズ)”でもある伊邪那岐が、ついに『神話矯正の儀式』を開始したその儀式は、世界をもう一度やりなおす……つまり「人類の滅亡」を意味する。真相を知った克喜と未麟は、最強の座敷童と謳われる“剣宮”鞘月と共にその暴挙を止めようとするが、伊邪那岐の力は圧倒的で……!豊葦学園を舞台に、座敷童とワラシモドキ、そして人間達の運命が交錯する……!


座敷童シリーズ完結編。ついにラスボスの三貴子の父親で、全ての元凶の伊邪那岐が現れる。
味方ですらも屠ってしまうような、いかれているボスの描写が薄ら寒くて、キャラ造形はバッチリでした。
一瞬で時空間を跳躍できるという、ほぼ無敵の相手に向かって、皆がそれぞれのやり方で闘いを挑み、へたれる事なく、ひたすら疾走していった物語は熱い、熱い。白のオベリスクに克喜が触れるという目的が達成されると、自らが滅ぶことを気付いていながらも、共にある人間を守るために人類矯正網に闘いを挑んでいった座敷童、そしてモドキ達の姿は当然のことながら、今まで守られるだけの存在であった人間達が今回は滅びに立ち向かっていく姿が何とも言えない。これは既刊の積み重ねがあるから効くんですね。
彼らが抗いながらも、積み上げてきたものを壊すようにどんどん散っていく姿は切ないけど、これで終りなんだなということを強く感じさせられました。霧穂、夕琴のシーンとか涙ものでした。よう子や深由美についてはさらっと流されてしまったので、もうちょっとなにかを、とは思いましたが。
メインの二人の関係について。克喜が未麟に対して言った「大事に思っている」の一言が二人のあいだの大切な絆を感じさせられました。これまでを通して培ってきた関係が、戦友と恋人の中間みたいな感じでしたけど、二人にはちょうど良いのかなと思います。
最後は結構あっさりしてると思ったけど、何かを予感させるような含みのある終り方は好きです。このシリーズ読んできて本当に良かった。
以下関係ないけど、神話矯正網が行われないことで存在が消滅してしまう未来人の座敷童達もそうだけど、自然に人類が誕生したことになることで今現在の意識が生まれないということは、現在の時空に連続していないということで、あそこにいる存在は皆擬似的な死を迎えるんではないかと思ったり。存在が残ることが生きるということなら別なんですが。作中の時間の世界がどうなっているのか気になるなあ。