天空のアルカミレス(2)

天空のアルカミレス (2) (電撃文庫 (1289))

天空のアルカミレス (2) (電撃文庫 (1289))

《金色の戦器》奪還の命を受けた双子のテリオン・火凛と水漣が拓也の前に現れた。最後のアルカミレスとして覚醒したものの《金色の戦器》の真の力を引き出せない拓也は、熱と冷気を操る火凛と水漣に苦戦、拓也をかばい無理を重ねた日向子は倒れてしまう。そんな二人の許に、転校生・亨司が現れる。《方舟》の使いであるという亨司は、テリオンに対する人類の切り札となり得る拓也をサポートするために来たという。一方《最も凶暴なテリオン》ルスランに連れ去られた礼菜が、テリオンの拠点の一つ《城》で出会ったのは……。


攫われた礼菜を救い出すためにトレーニングを行う拓也と、それを手助けする日向子。そこにテリオンから敵が襲ってくるという流れ。
人間とテリオンという対立構造が、享司やレディバレット、高橋らを大きくクローズアップすることでこれまでよりはっきりしてきて、分かりやすくなってきました。新しい登場人物の中では、卓越した能力を持ち、謎を抱えている亨司がこの先鍵となる存在になりそうです。彼と日向子の上司である鮫石さんとの関係も気になるところですし。
まだまだ戦闘に関しては未熟な二人は、失敗してしまいますが、生まれる結びつきは初々しい。制約がかかっている中で、この先段々とコンビネーションが上がってくることに期待。今回のような手は中々使えないと思うので。それでも礼菜のことを考えてしまう拓也とそれに対して傷ついたり、遠慮がちになってしまう日向子に礼菜の存在の大きさを思わされます。
その中で直情径行ゆえに暴走しそうで、記憶喪失する前に何かあったような拓也も怖いし、ラストの礼菜も無茶苦茶怖い。それまでの余韻を吹き飛ばすテリオンの本性の話が……。ああ、引き金が引かれたときに全て受け止められるヒトはいるんでしょうか。二人を育てたお爺さんかしら?