パラケルススの娘4 緋袴の巫女
- 作者: 五代ゆう,岸田メル
- 出版社/メーカー: メディアファクトリー
- 発売日: 2006/06
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (26件) を見る
パラケルスス4巻目。遼太郎の祖母の多華女とクリスティーナを主人公とした過去編です。あらすじの櫻井はさしづめ狂言回しといったところでしょうか。
長い時間生きているクリスティーナにつっかかっていく、多華女と睦月のコンビの言動が、当時の日本人の外国人に対する印象ははこんなものだったのかなと感じさせておかしかったです。そんな感じだったのが段々とうち解けていくのもよかった。
そんな主人の多華女と従者の睦月の関係が、彼にだけ弱いところを見せるように、主従というだけではないつながりといったものを感じさせられて良い関係なのだけれど、その悲劇的な終りを既に示されているのでとても複雑。また、クリスティーナに対して多華女が一巻で贈った言葉が、このような状況でこのような意味をもっていたとは思いもしませんでした。
クリスティーナという存在の登場をきっかけに、それまで自分を妖怪を退治する道具として捉えていた多華女が自分の存在について悩み、最後に出してしまった結論は、凛としていてけれどもとても哀しい。この後黄夫人と共に行動することになる睦月の心中は、無口で感情を表に出さないキャラクターなだけに、この時いかなるものだったのかが気になりました。
ラストの展開を始め本筋の方にも大きく影響を与えそうな本作。先見の予言など、方々に出てきた、遼太郎がどんな存在であるかいうことを示す言葉が気になるところです。本編の方もますます楽しみ。