ソラにウサギがのぼるころ〈2〉

吸血鬼少女ユウが“運命の人”と再会してから二週間。霧村聖司は相変わらず、愛すべき退屈な日常を満喫中だ。陽子のもとで暮らし始めたユウは、進展しない運命の人との関係と、強い吸血衝動が抑えきれないことに焦燥を感じていた。そんな折、ユウを組織に迎えるという任務を果たすため、“コミュニティ”のメンバーが密かに夜光市に集まりつつあった。ある日、何も知らずに過ごす聖司のもとにラブレターが届く。町外れに呼びだすその手紙に、「陽子からのちょっかいも減ったし、ひとつ健全な恋愛でもしてみるべきだろうか」などと考えてでかける聖司だったが、待っていたのは意外な人物で…。


二巻目。本筋はあるのか分からないけれども、前シリーズに比べるとストーリーに重きが置かれている印象が強まってきました。
新たなコミュニティの刺客が町にやってくるっていう筋ですが、新キャラとともに掘り下げられているのはメイドのシズ。正直なところ聖司とシズの毒舌合戦と聖司の惨敗シーンの印象が強すぎて、裏でいろいろと思惑があるみたいだけど、ほかのところがあまり印象に残らなかったなあ。全体的にコメディタッチな中でも、「真実の塔」の部分が一番面白かった。
また、吸血とか真実の塔のところを始めとして、下の方向に全体的にシフトしていますが、官能小説ばりの描写の部分は目を引くけれど人を選びそう。
ヒロインのキャラクターにツンデレばっかり用意していて、これが好きなのか、それならたくさんくれてやろう。な萌え重視な感じに一見見えるのですが、そういったものがあまり感じられないのが不思議。なんかそのひねくれ方もテンプレすぎて笑いの方へ転化していってる感じです。それはそれでいいんだけど、陽子みたいな違う性格のキャラクターの登場シーンももうちょっと欲しいところですが。
さて、雲行きが怪しくなってきたけど、どこまでこのドタバタラブコメを継続していけるでしょうか。個人的には弱気なおじさんに見えて、何を考えているのか分からないコミュニティの議長さんは好きです。