SLASH/DOG〈1〉胎動
SLASH/DOG〈1〉スラッシュ・ドッグ 胎動 (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 石踏一榮
- 出版社/メーカー: 富士見書房
- 発売日: 2006/08
- メディア: 文庫
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電蜂の方の新作。修学旅行へ行った自分の同級生達がウツセミというものに乗っ取られて、修学旅行に行かずに生き残った鳶雄や夏梅達を、ウラギリモノと呼んで襲ってくるという、ホラーがかったお話です。
どうしても文章の方がデビュー作の電蜂と比べてもあんまり上手くなっていないのが、気になってしまいます。もうちょっとどうにかならないんでしょうか、この文章。
また、それぞれが大切な人をウツセミに乗っ取られてしまった悲しみというものは、その親しかった過去を描かないとあまり説得力が感じられないので、感情移入することが出来ずにどうしても薄く感じてしまうところがあります。エピソードを合間合間でいいからもうちょっと挟んでもらえれば、その人と敵として対峙しなければならない葛藤が上手く伝えられたんじゃないかなと思います。どうにも人間味が感じられにくい。
ただ、性格がバラバラの主人公達三人の、戦闘を通してできてくる繋がりの方は、雑な面はあれど描かれていたので良かった。相手がこちらの攻撃を覚えて、どんどん強くなっていく中で、この先の三人の戦闘がどうなるのかも楽しみなところです。
新シリーズということで続編前提の作りなので、「ウツセミ」がどういう存在であるのかというのを始めとして、謎は大方残りっぱなし。設定のあたりに色々と粗がありそうだけど、どうまとめるのか注目といったところです。