骨王 (1)
- 作者: 野村佳,THORES 柴本
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2006/07/29
- メディア: 文庫
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スニーカーの新人さん。感想が延び延びになっているので一念発起して(そんな大層なもんじゃない)書く次第。えーと、スニーカーの新作はどの作品も続編前提の作りですが、どうなんでしょこれ。
主人公の海翔は従姉の死んだ現場に遭遇し、その後に人間の意識が乗っ取られてしまったミミックという生き物に付けねらわれることになります。人体に傷を付けることで簡単に脳細胞を体に潜んだウイルスに乗っ取らせることができるあたりはホラーがかったサスペンスの風味でもあり、人間対ミミックという対立構造には伝奇小説のような趣もあります。様々な要素を詰め込んだが故に、終盤にかけての書き込みが足らなくて、ちょっと消化不良の面はありました。過去の事件がもとで冷徹になってしまったヒロインの心が解かれていくシーンはエピローグとして持ってくるのもいいけれど、もうちょっとスペースを割いてあげてほしかった。
海翔はお年頃な少年で、それが良きにせよ、悪しきにせよ押し付けられたことに対して反抗したくなる中学生の心理が描かれていたと思います。ただ、父親に対して反発するところなど、誰も自分を分からないという様な自己中気味の青臭さが強かったのがちょっときついところはありました。頭が良くて冷静という役どころの従兄弟の車いすの少年・葉平も、肝心なところでアレな行動をとってしまうなど、全般的にキャラクターがいまいち魅力的じゃなかったなあ。
作品の暗めな世界観の設定や、人間だと思っていた人が得体の知れないものに変わったり、いつ自分も変わってしまうかも知れない怖さというものは魅力的に映ったんで、キャラクターのこれからに期待といったところでしょうか。どんな風に海翔が成長するのか、楽しみでもあり、怖くもあります。