ジョイン!

ジョイン! (電撃文庫)

ジョイン! (電撃文庫)

三百年前「システムズ」という魔法の本に封印された魔王と魔王軍。その強大な力を召還する“タイプリーダー”と呼ばれる能力を持つ少女・ミュンヒイ。兵学校を卒業したばかりの彼女は英雄を登場させるという秘密の計画に参加する事になり、その使命に燃えていた。ところがそんな彼女が配属されたのはあろう事か英雄軍の引き立て役の“ニセ魔王軍”。しかも部隊の仲間たちはひとクセもふたクセもありそうなヤツらばかりで―。


祭紀さんの初オリジナル作品?。国によってでっち上げられた勇者を引き立てるために用意されたニセ魔王軍に配属された、苦労性の少女の物語。
全体的にぬるーいファンタジーという雰囲気が漂ったお話。主人公が所属している国の広さがどんなものであるとか、周りがどのようになっているのかといった世界観はどうも漠然としていてよくわからないんだけど、この巻においては本筋にはあまり関係がないのでそんなに気になりませんでした。シリアスな部分について緊張感が漂わないんで、緊迫したいいシーンでも気が抜けてしまうのが欠点。見せ場みたいなところでもあんまりそんな感じがしません。
ただ、魔王軍に属することになった面々を始めとしてコメディのキャラクターとしては独特の個性があって魅力的。キャラクターが多い故に、各々の登場する部分が少ないというきらいはありますが、昼行灯な指揮官のもとでどことなく憎めない犯罪者をスカウトして、魔王軍を形作っていくあたりは面白かった。アットホームな感じの魔王軍というギャップが楽しめました。中でも元々ハウゼンに仕えている風の化身の姉弟のベス、グースとミュンヒイ、ハウゼンあたりのやり取りは特に好きです。
色々と伏線張ってるけど、続きは出ないんでしょうね。読んでみたいんだけれど、はてさて。