ジュリエットと紅茶を ようこそ、呪殺屋本舗へ

ジュリエットと紅茶を―ようこそ、呪殺屋本舗へ (コバルト文庫)

ジュリエットと紅茶を―ようこそ、呪殺屋本舗へ (コバルト文庫)

紅茶専門店ティージー』。
女子高生店長の小泉鏡花と、青年・波多野康祐が営むこの店の裏の顔は、依頼人が指定した人物を呪い殺すという触れ込みの『呪殺屋本舗』。ある日、店を訪れた小学生の依頼人留美。彼女が指定したのは、既に死んでいるはずの殺人犯だった。留美の必死の訴えで依頼を引き受けた鏡花たち。彼の死について調査を進めるうち、その裏にある大きな陰謀に巻き込まれ…。
 

呪殺屋という禍々しいサブタイトルですが、実際は依頼人には死んだように見せかけて、恨まれている人間を脅しつけた上で、目の届かないところに移すと言う商売。要は詐欺師まがいなんですが、作者もコンゲームを目指しているそうです。そんな目の付け所が面白い作品。
事件のほうは死んだはずの殺人犯の調査を始めるところからスタートするんですが、ベタながら探偵ものとして結構しっかりとしたつくりをしていると思います。二つの事件の裏には大きな組織があってという展開はあまりコンゲームといった感じではないけれども。そして、何より主役の二人+留美の会話シーンが見ていて楽しい。小学生の彼女が背負った重荷を、二人と関わることで段々とおろしていく様の描写が良かったと思います。
細かいところを突くと、うまく行きすぎてどうにも納得できないところもあります。その程度で警察はごまかせないと思うところとか、腫れあがった顔で面接行って通るのかとか。ラストもちと納得いかないところはあるのですが、それはともかく全体を通してみると読みやすい文章というのもあり、結構面白かったです。
本筋もいいけど、高校生のお嬢様と彼女に雇われている年上のアルバイターという二人の関係がどう進展していくかの方も気になります。出来たら二人の馴れ初めのほうも知りたいなあ。この先期待と言うところです。