リバーシブル 1.黒の兵士

リバーシブル 1.黒の兵士 (角川スニーカー文庫)

リバーシブル 1.黒の兵士 (角川スニーカー文庫)

相馬さんが消えた。俺や伊緒ら5人のメンバーがハマっているゲーム“マスケラ”―アンドロイドを操り、新首都を破壊していくという悪趣味だが抜群に面白いしろもの―のプログラマーだ。“調停者”なる謎めいたコントローラ、襲われる仲間たち、そして起動するモノホンの戦闘用アンドロイド“ノワール”。そう、俺たちは現実と非現実の狭間の危険なゲームをプレイしていたのだ!


スニーカーの新人さん。頭につける機械を通して仮想空間でのミッションをクリアするゲームを楽しんでいた高校生が、あくまで仮想のものであるはずのそのソフトの裏に潜む真実に気が付き、調査をはじめるというストーリィ。
電脳世界での戦闘シーンがかなり派手で、その部分を取るとバーチャルな世界を持ち込んだのは成功だと思います。現実の方の戦闘支援用の道具としても使われている使い方も、戦闘に関する可能性が広がって面白い。ただ、あまりにも万能過ぎるのと日常生活の中にまでヘッドセットの機械による干渉があるので、どこまでが現実であるのかつかみづらいのが難。
コンピューターの中にいるシステムナビゲーターのダキ二のキャラクターが良いだけに、登場シーンが少なかったのが残念。コントローラの謎は持ち越しになったので、まだこれから出番はあると思いますが。
キャラクターたちについては正直な話、彼が害された時点で、彼女を疑う人が出てきてもおかしくない気がするんだけどなあ。伏線の上手い張り方とともに、あまりにも考えが及ばなすぎる登場人物たちの練りこみをもうちょっと頑張ってほしいところでした。表に現す感情が乏しそうに見えて、実は大胆なヒロイン伊緒との恋愛模様は良かったと思いますので、そちらは増量希望。
入れたいことがまとまりきらず一冊の中に収まりきらなかったという印象を受けたので(続編前提という形であるのも大きな要因だとは思いますが)、次はもうちょっと整理された形でだしてほしいところです。