カントリー・ハウスは恋のドレスで
カントリー・ハウスは恋のドレスで ヴィクトリアン・ローズ・テーラー (ヴィクトリアン・ローズ・テーラーシリーズ) (コバルト文庫)
- 作者: 青木祐子,あき
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/10/03
- メディア: 文庫
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今回は貴族が社交シーズンでないときに過ごすカントリーハウスに、クリスが仕立てのために呼ばれ、そこにシャーロックもやってくるというお話。クリスは社交界でデビューするよりは、自然の中ですごしているほうが好きな健康優良児アップルにドレスを作るよう依頼されます。陽気で、奔放な性格でありながらも、他の人のことを良くみていて鋭い一言を吐くアップルのキャラクターが魅力的。そんな彼女の姿を通して、彼女と父親の複雑な思いのすれ違いが描き出されていたと思います。
ただ、作品としては、今回のお客様であるアップルと彼女の父親の関係が無論主眼に置かれているんですが、これまでの作品に比べるとクリスとシャーロックの恋する内心の描写が多めで、結構そちらに食われてしまったかなあという印象でした。物語の盛り上がりにクリス自身の件がダブってくるのも大きいと思います。
お互いに恋心を自覚している(上に相手にもほぼ伝わっている)のにあと一歩を踏み切ることが出来ずに悩んでいる二人の姿は前以上にもどかしい。二人の未来の可能性の一つとして提示された今回の依頼主である公爵とアップルの母親の愛人関係というのが、シャーロックに自分の恋心についてどういう思いを抱かせるのか、次巻が楽しみです。
また、闇のドレスの件をはじめ着々と終盤に向けて物語が整っている印象を受ける巻でした。アイリスさんの変装術は凄すぎる。
ところでエンディングのクリスの意味深な言葉は…パメラは…。