鋼殻のレギオスⅣ コンフィデンシャル?コール

二人は出会った。それはあらかじめ決められていたことかのように―。「ヴォルフシュテイン、この程度か?」少年は囁くように言う。「サリンバン教導傭兵団…」剄の力を加速的に飛躍させる違法酒密輸事件を捜査していたツェルニ都市警察とレイフォンは、偽造学生証を保持した集団に遭遇する。その中に、少年―ハイアがいた。グレンダンが誇る最強傭兵集団の三代目団長であるという彼がなぜここに?さらに違反酒捜査の手はツェルニの生徒にまで及び、それがいくつもの運命のいたずらを引き起こすことになる…。


シリーズ4巻目。シャーニッドの過去とグレンダン出身の人間で構成されるサリンバン教導傭兵団の来訪の二方面からストーリーが進んでいきます。
物語全体の調和はうまく取れていると思うんですが、所属していた第十小隊を離脱して、そのメンバーから未だに恨みを買っているという過去を背負っているシャーニッドの物語としては全体的にはちょっと薄味かなという印象でした。それゆえに終盤の盛り上がりはじっくり描いてほしかったと感じる面もありますが、山羊との絡みもあるしレイフォンの物語があるから、これぐらいがよいのかなあ。
シャーニッドの昔の小隊の頃の仲間との話を通して、仲間との絆というものの本質について考えさせられる話でした。元に歪なところがあるとはいえ皆を守りたいという強い思いが歯車を狂わせてしまう様は悪と断じて切り捨ててしまうのは難しい。目的を持たないレイフォンに説教していた頃のニーナも近しいところがありましたし。絆が最悪な形で壊れないように黙って隊を離れたシャーニッドは男ですな。
まあ、一番の衝撃はリーリンがツェルニへ来るかも知れないということですが。恋愛面では、仲間意識との分離がはっきりしている感じはまだそこまでしませんが、これまでの面々で進んだのはニーナぐらいかな。彼女がどう変わっていくのかが楽しみです。途中まで隊に参加することになった、ナルキももしかしてと思ったんだけど、どうなんでしょう。
しかし、都市対抗戦にクライマックスを合わせるんだとしたら、意外と早く結末はやってきそうだなあ。シャーニッドの物語部分以外はまだ終わったという印象を受けないので、5巻が楽しみなところです。