神様のおきにいり2 びしゃがつくの巻

とある秘密のために、微妙に人づきあいが悪かった稲村智宏だったが、最近は友人を家に招くようにまでなった。しかし智宏の家に初めて訪れた友人を、桜の精・好香が三つ指ついて出迎えてしまう。「わ、若奥様!?」……結局、必死にごまかす智宏は隠し事があると誤解されるのだった。さらに、智宏と好香の仲に対抗してか、珠枝は兼康と“でえと”をすると宣言。嬉々と参じた兼康は、ファミレス甘味漬けに付き合わされる。いつもの平穏な日々。しかしまたも妖怪が起こした事件の行方は、智宏の身に還ってくるようで……?


前巻と比べるとシリアスな部分が抜け気味となり、ご近所ほのぼの系妖怪コメディといった印象が強まっている二巻目。前巻よりずっと好みでした。各章でヤマイヌを探したり、友達の奇妙な症状を治したりといった妖怪との日常?を描いた上で、最終章での事件の解決という構成も上手い。
妖怪と分け隔てなく付き合うことができる智宏に寄せる妖怪たちの信頼や好意が暖かくて、場面ごとの登場キャラクターを減らしたこともあるのか、それぞれの細かな描写が増えた分とても魅力的に感じられます。不器用で面にあらわす事が苦手ながらも智宏と共にいようとするコヒロや、金銭の計算ができないがゆえに仕事を押し付けあっている町内会の面々の姿なんかが素晴らしい。
そして大人のようでもあり、世間知らずな子供みたいな部分もある珠江が、気持ちの読めない智宏の行動に対抗しようとしたり、むくれたりしている姿も愛らしく感じられます。
それだけに、警告を発することによって妖怪と人間(智宏)の間に垣根があることに繰り返し言及していた終盤の部分が、どの方向に作品を向かせようとしているのか、そこはかとなく心配。ほのぼの路線がいいんです、ほのぼのが。妖怪との間をつなぐ人も登場しただけに、それぞれの立場の違いはあれど、あくまで個別の存在としてだけで種の対立軸にはならないでほしい。