いぬかみっ!〈11〉

「ずっと前からあなたのことが好きでした」啓太のもとに届いた一通のラブレター。いったい誰が啓太に!?いや、差出人の名前はあるけど、そんなばかな!突如起こったラブレター騒動は、ようこ、新堂ケイ、カオル、ともはね、はけ、仮名史郎を巻き込んでタイヘンなことに…!このほか、才女にして美麗、トリプル200(!?)の異名を持つ仮名史郎の妹が啓太の家にやってくる話や、世界を飛び回る薫の犬神たちの話、ほんわり温かいたゆねの話などなど、全部で7話。


薫を待つ啓太たちの日常と薫を探す犬神たちの物語の続き。前巻に比べるとシリアス多め。
啓太の周りで巻き起こっているドタバタ騒ぎは笑わせながらも、日常を感じさせてホッとさせてくれます。薫を待つ家にともはねしかいなかった頃から、段々犬神たちが戻ってきたり、再会を喜んだりしている姿がなんともいえずよい感じ。けれど、前巻からそうだけど啓太がもてているのは違和感があるなあ(ひどい言い草だ)
ということで、コメディとしては全体の中でも、ラブレターを巡るドタバタ騒ぎが面白かった。こういう風にしか恋心を扱ってもらえない新堂ケイが何ともけなげで哀れ。仮名さんの前で読み上げるシーンとか思わず吹き出してしまうほど面白いんだけどさ。何をしても恥ずかしがらないてんそうを恥ずかしがらせるための、フラノと啓太の深夜の着せ替えなんかも、お約束を抑えていておかしかった。比較的影が薄かった二人にきれいに光が当たっています。
そんな中、いいシーンとしてはたゆねが家に戻ってくるところで確定でしょう。大切な人の幻に涙する彼女の姿とそのフォローをする啓太の姿がいい。硬軟うまいこと織り交ぜてあるなあといった印象でした。
そしてやっぱり、彼女の姿が気になることしきり。普通のはずなのにあたりに黒いオーラが漂っているようで怖い。ラストにもってきて印象付けてなにをする気だ。