探偵は今夜も憂鬱
- 作者: 樋口有介
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/11/11
- メディア: 文庫
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中篇三本からなる短編集。
中篇という短い尺ながら、相も変わらず柚木さんは年上、年下関係なく女性にフラグを立てたりして、流されっぱなし。どの依頼を受けても気がついたら美女に行き着くというのがファンタジーですな。これまでと違ってお金に動かされる描写が明確に出てきているのが新鮮っちゃ、新鮮です。結末は様々ですが、哀愁を感じる終幕の何とはないやるせなさを打ち消す、歯の浮くようなやりとりはそのまま。それぞれの作品に登場する人たちの、相手に対しての独占欲の発露が招く結末というのが印象的でした。
登場キャラクターとしてはこれまでの作品で出てきていたインパクト十分の娘・加奈子ちゃんが出てこないのが残念です。代わりにといってはなんですが、恋人と行きつけのバーのママさんにいじめられていますが、美人に弱い柚木さんに自分たちで美人の依頼人を紹介しておいて、とはいたぶっているみたいじゃないか。彼女たちが考えた通りに美女に惹かれて動いてしまう柚木さんも柚木さんですがね。
タイトルは全部「〜の憂鬱」と統一しなくても、改題前のでもよかった気がするなあ。