くじびき勇者さま2番札 誰がお荷物よ!

「くじびき」の神事により、救国の勇者に選ばれた剣士ナバルと、その従者に選ばれた修道女メイベル。脳ミソ筋肉のナバルと、学者顔負けの博識で何でも解説を始めてしまうメイベルの凸凹コンビは、何かとぶつかり合いながらも、それなりに順調な旅を続けていた。だが、そんな2人の前に、対立する異教徒・ドラゴン教徒が立ちはだかる。さらには、強大なドラゴンまで現れて…


シリーズ2巻目。
前巻ではメイベルのいい面ばかりがクローズアップされて、相対的にナバルが低く見える感じで描かれていましたが、2巻目では逆転。知識先行であたまでっかちになりがちな彼女の弱点とくじびきの導き(しっぺ返し?)を、旅先での様々な事態を通して描いています。それによって万能に近いしっかり者という彼女のイメージが、結構抜けているところが分かって、がらっと変わって面白い。融通の利かない頑固者との印象だったナバルの方もそれなりに頼りがいがある感じになっていますし、いいコンビだなと思います。
くじびきで決まる旅は運の悪いこの二人の旅らしく行く先には苦難がいっぱいという感じですが、その中でメイベルがナバルを意識していくようになっていく過程がラブコメのように仕立てられていて、読んでいて楽しくなってしまいます。そんなことを思われている朴念仁のナバルの方は全然意識してないあたりがより一層おかしい。そんな風に、寒風吹きすさぶ山を上ったり、ドラゴン教徒に出会ったりと、旅の中での様々なピンチを二人であれこれ言い合いながらも乗り越えていく姿はとても魅力的に感じます。最後のフライパンで戦うナバルの姿はもうギャグとしか。
各所で散見される「くじびき」の正当性とメイベルが嫌っているそれを信仰することの正しさについての話は、どう収束していくのかな。この先の旅行きも楽しみです。