身代わり
- 作者: 西澤保彦
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2009/09/01
- メディア: ハードカバー
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自分が前作を読んだのがおよそ7年前だから、それからしてもだいぶ経っています。
まあ、作中では時の経過は関係ないので、こちらが感傷を覚えるのは勝手なんですが、前作を超えても崩れずある四人の関係に懐かしさを感じてしまいました。未だ前作「依存」の影響下から完全には脱しきれないものの前進しようともがくタックやそれを守るタカチの関係、それを受け入れるボアン先輩とウサコがファンとしては愛おしく感じられます。まあ、それは作品全体でみると割合脇の話で、量的にもあっさりめな感じではありますが。
作品としては、過去と内面を大きく抉った前作(やそれまで)に比べると、殺人は起きているものの大分大人しい作品といった印象を受けます。人間の悪意を感じさせられる描写もあるものの、テイスト的には麦酒の知恵比べに近いかなあと感じてしまうのは、事件に巻き込まれるのがあまり近しい人ではなく、ラストの締め方のせいかも知れません。ただ、構図としては結びつけやすいんですが、2つの事件の不可解な点が一本の線に集約していくあたりは流石と感じさせられました。特に警官殺害の動機についての考察の部分の反転が面白かったです。
仕切り直しの一本ということで次はもうちょっと早いんですよねーと期待してます。ボアン先輩の恋物語もちこっと。