七花、時跳び!

七花、時跳び!―Time‐Travel at the After School (電撃文庫)

七花、時跳び!―Time‐Travel at the After School (電撃文庫)

久住先生の新作はタイムトラベルものということで、迷わず手を伸ばしました。
あらすじでも強調されてるようにしょーもないことにタイムトラベル能力を使ってしまうあたりは、コミカルで肩の力を抜いて読める小品といった印象でした。そのなかでも、退屈な日常に飽いている柊と彼に振り回される能力者の後輩七花の関係性が一番の読みどころかなあ。彼と彼女が出会ったころから未来に至るまでに築いた、二人の関係が七花の様子から浮かび上がって色々想像出来るのが良かったです。無表情な女の子があんなになるなんて!それまで嫌みなほど空回っていた柊君が逆にたじたじになってしまう未来が良かったです。
まあ、自分としては鈴ヶ森さんの意味深な台詞が色々と気になるわけですが。


タイムパラドックスとしては行動によってどんどん分岐する平行世界とかのネタが好きなんで、今の行動がすべて定まっていて…という形での普通の収束は正直肩すかし気味かなとも思うんですが、世界を救うようなお話ではなくてタイムトラベルが日常の一部として収まっていってしまうようなこの作品ならまあいいや、なんて思ってしまえるわけでした。伏線なのか気になるところはあるんですけどね。