Re: バカは世界を救えるか?

高二にもなって厨二病を患っているお馬鹿さんが主人公。いわゆる典型的なアレで、腕が疼くとかやってるんですが、カラコン入れて、長ラン、革手袋を装備するなど、スタイルから本格的。そんな痛い子がひょんなことから非日常に巻き込まれていくお話。
序盤の方を読んだあたりではアチャーという印象でした。カッコつけな割に周りからはかなり冷遇されている彼が、ひょんなことから触れた非日常の世界に、力もないのにノリノリで飛び込んでいこうとする姿が痛々しくて。ただ、そんな彼も自分が痛いことをやっているという自覚が相応にあって、トラウマを抱えて想像以上に重い非日常の世界に触れる中で、自己の薄っぺらさを自覚してその世界で踏ん張っていく成長を見せるあたりに主人公として非常に好感が持てました。もともと張る意地だけは人一倍持っているキャラクターだけに、浮ついた部分が抜けたら熱血バカとしての地が出てきたりして。
タイトルの割に物語の設定はかなり重め。世界のため自己犠牲を要求されている金髪少女のアルルや、クラスメイトのロリ宮をはじめとして過去の災厄で家族を失った人たちの設定は、主人公の明るさが中和してないと凄く暗い話になったんではないかなという感じ。天使という存在や舞台設定などは続刊前提で伏線が張られてるので、どういう選択を主人公が選ぶのかが楽しみなところです。ヒロインの選択も。
また、自身のトラウマを元に発現した異能を駆使して、自身の精神や肉体にも代償としてダメージを与えつつ戦うスタイルはなかなかシビア。そんな中相手の能力の劣化コピーをする<付け焼き刃>というしょぼい力を使って戦わなければならない主人公の戦闘はちょっとした知恵比べのような趣もありました。この先も余りのびしろが見込めない力でどう戦っていくのか、次巻も楽しみです。